■クイーンズタウンヒル／タイムズトラック
■Queenstown Hill / Times Track
クイーンズタウンヒルと呼ばれるタウンを見下ろす丘を周回する、クイーンズタウン周辺でも最も手軽なコースの一つです。タウンからトラック入口までは徒歩圏内。以前は Kent St（ストリート）から入れたトラックも最近は宅地開発が進み、現在はタウンから丘に向かって左手の新しいストリート、Kerry Dr（ケリードライブ）の先、Belfast Tce（ベルファーストテラス）から入ることになります。実はよく見るとタウンからトラックの入口までところどころに看板が出ていますが、残念ながらあまり目立ちません。
トラックは、入口から一周して帰ってくるまでが、１時間から２時間ほど。登りもきつくなく、今までハイキングの経験が無い方でも気軽に歩けるトラックながら、トップからの眺めは素晴らしいの一言。クイーンズタウンを見下ろし、目の前にはワカティプ湖、その先にはセシルピークやウォルターピークと呼ばれる湖から直接そそり立つ２０００ｍ超級の山々。この手軽さと、それとはアンバランスな程の素晴らしい景色の組み合わせがこのトラックの魅力であり、ニュージーランドのトレッキングのあり方を象徴しているとも言えるかも知れません。
またトップ周辺からは、タウンから離れる方向に向かっていくつかのトラックが伸びているので、時間があればそちらを歩いてから降りてくるのも良いでしょう。山歩きに慣れてる方には物足りないかもしれませんが、ちょっとした時間で歩きに行ける、どなたにもお薦めできるトラックです。
クイーンズタウンヒルからの眺め
■ベン・ロモンドトラック
■Ben Lomond Track
クイーンズタウンに来ると、まず目に入るのが山の上にあるレストラン。ボブズヒルと呼ばれる丘の上にある、タウンを見下ろしながらディナーを（もちろんランチも）楽しめる人気のレストランで、その後ろにある山がベン・ロモンド。この山の頂上を目指すのがベン・ロモンドトラックです。
トラックの入口は３箇所。一番わかりやすいのは Lomond Cres（ロモンドクレセント）の入口で、タウンからは徒歩１０分ほど。ここには小さい駐車場もあります。あとはボブズヒルのレストランに上がるゴンドラ駅の付近に１つと、Lake Esplanade（レイクエスプラネード）と呼ばれる通りをグレノーキ方面に向かった終点、ラウンドアバウトからちょっと入ったところに１つ、それぞれ入口があります。厳密に言えば Lake Esplanade から入ると One Mile Creek Track（ワンマイルクリークトラック）という、ちょっとした小型渓谷風の川沿いを歩くトラックを経由してベン・ロモンドトラックに合流することになるのですが、あとの２つは基本的にどちらから入っても変わりはありません。どこの入口もタウンから徒歩圏内。
どこから入っても、ある程度歩きなれている人であれば頂上までは休憩を取りながら歩いても３時間半から４時間程度。健脚な山男（山女）なら１時間半前後で上がることも可能です。また、「あんまり長い山歩きはちょっと・・・」と言う方には、ゴンドラでボブズヒルまで上がって、そこからトラックに合流するという裏技（かなり表技ですが）もあり、この方法であればそこそこ楽に山頂を目指すことも可能です。
標高１７４８ｍの頂上からの景色は、まさに絶景。３６０度の大パノラマが待っています。目の前にはワカティプ湖が横たわり、その奥にはリマーカブルズ、セシルピーク、ウォルターピークなどの山々。後ろを振り返ればＭｔ．アーンズロー、Ｍｔ．クライトン、Ｍｔ．アスパイアリングなどの山々と、すぐ眼下にはモケ湖も見ることができます。どれがどの山かわからない方のために（普通わからないですが）、山頂には実際に山を指し示すとその山の名前を教えてくれる、大変便利な案内板も設置されています。時間を計算して登れば、タウンへの帰り道にボブズヒルで夜景を見ながらの食事、そしてゴンドラで下山ということも可能。山頂を目指す最後３０分ほど、少しキツめの登りが続きますが、息を呑むような絶景を比較的気軽に楽しめる、時間のある方にはぜひお薦めしたいデイウォークです。ただし山頂はかなり寒くなりますので、いくら暖かい日でも上着の携行は忘れずに。
ベン・ロモンドからの眺め
■ワンマイル−ファーンヒル ループトラック
■One Mile - Fernhill Loop Track
ベン・ロモンドトラックを登り、途中で枝分かれしているファーンヒルトラックへ入り、ファーンヒルと呼ばれる住宅地を経由して車道を通ってタウンへ戻ってくる、５分の４を自然の中、５分の１は車道を利用する、ちょっと変わった周回トラックです。
所要時間は３時間半前後。ファーンヒル側からトラックに入る時計周り、タウン側からトラックに入る反時計周り、どちらに周っても構いませんが、ファーンヒルの住宅街でトラックの入口を探し回るよりも、タウンから入ってファーンヒルから抜けて来た方が、帰り道がわかりやすいかもしれません。ちなみにファーンヒル側のトラックの入口は Wynyard Cres（ウィンヤードクレセント）にあります。タウン側の入口はベン・ロモンドトラックと同じ。３箇所のどこから入っても構いません。林の中を走るベン・ロモンドトラックをしばらく登ると、左手に枝分かれするファーンヒルトラックへの分岐点にたどり着くので、そこからファーンヒルトラックへ。ワンマイルクリークと呼ばれる川とその支流を何度か渡り、美しい森を抜け、その先の開けた丘からは、美しいレイクビューを堪能することができます。その先はファーンヒルに向けての下り道が続いて行きます。途中一部急な下りがありますので、歩き慣れていない方は少し苦労するかもしれません。ファーンヒルの車道に出たら、あとは道が下っていく方に進めば、タウンへ帰ることができます。このトラックの出口からタウンまでは、およそ３０分。帰り道の途中からもワカティプ湖、リマーカブルズ、セシルピークを一望することができます。
このトラックはトポマップにも載っておらず、どちらかと言えば周辺住民の散歩道的な趣のトラックですが、クイーンズタウンヒル同様気軽にハイキング、レイクビューを堪能できる、どなたにもお勧めできるトラックです。ただし最近、このトラックのファーンヒル側周辺で宅地開発、ホテル開発が進んでいる為、今後トラックが変更される恐れがあります。ここを歩かれる場合には、事前にトラック情報をお確かめ下さい。
ワンマイルクリークの支流
■１２マイル ループトラック
■Twelve Mile Loop Track
タウンからグレノーキ方面へ車で１５分ほど。Mt.Crichton Scenic Reserve（Ｍｔ．クライトン シーニックリザーブ）内にある、１周３時間から４時間ほどの周回トラックです。入口付近で若干トラックが崩れて歩きにくいところがありますが、それを除けば非常に歩きやすく、ハイキングの経験があまり無い方にもお薦めできる、よく整備されたトラックです。
ここの魅力は素晴らしいレイクビューと、きれいな滝、それとほとんど人に出会わないこと。鳥のさえずりを聞きながら、美しい自然を独り占めすることができます。時計周り、反時計周り、どちらに周っても構いませんが、お勧めは時計周り。前半いくつか見どころを見て周り、最後にレイクビューが待っているコース取りです。トラックは途中で何度かブナ林を抜け、そこでは素晴らしいブラックビーチやマウンテンビーチ（どちらもニュージーランドに自生するブナの一種）を見ることができ、コース途中の橋からは小規模ながらも美しい滝を眺められ、ちょっとトラックを外れて（本当はトラック外へ出るのはあまりお勧めできないのですが）川沿いを歩けば、澄んだ水をたたえる小川が苔むした岩を滑り落ちる、そんな光景を楽しむことができます。
またトラック途中にある「Historic Tunnel」の看板のところからトラックの支流に入れば、岩を真っ二つに切り裂いたような珍しいトンネルと、その先にある川を少し川上方面に上れば、人目を忍ぶように隠れる美しい滝を見ることができます。この滝は、メイントラックから音は聞こえますが、サイドウォークに入ってここまで降りてこなければ実際に見ることはできないので、ぜひこちらにも立ち寄ってみてください。
そしてトラックの終盤には待望のレイクビュー。ビューポイントの真下にはディスピュート湖、そのすぐ先にはワカティプ湖が横たわり、その更に先にはセシルピークやウォルターピーク、後ろを振り返ればＭｔ．クライトンがこちらを見下ろしています。時間に余裕のある方は、このビューポイント付近から枝分かれしているディスピュート湖へのトラックを降て湖を見て周り、更に時間のある方はその先のモケ湖まで足を伸ばすことも可能です。
このトラックは山歩きの経験がある方には何の問題もありませんが、経験のない方にとっては少しキツめの登りが一部あり、またトラックからデスピュート湖までのトラックにも一部急な個所があります。またこのトラックの入口があるメインロードの Glenorchy Rd（グレノーキロード）には１２マイルループトラックの看板は出ていないので、「Mt.Crichton Scenic Reserve」の看板を目印にされてください。車がないとアクセスしにくいトラックですが、観光でいらっしゃる方やワーキングホリデーでいらっしゃる方にはほとんど知られていない、手軽ながらもたいへんに美しいトラックです。
トラックの支流にひっそりと隠れる滝
■レイクイゾベル／Ｍｔ．クライトン トレイル
■Lake Isobel / Mt.Crichton Trail
Ｍｔ．クライトンのすぐ下、標高１６００ｍ付近にひっそりと隠れる湖、Lake Isobel（レイクイゾベル）を目指すトレイルが１２マイルループトラックから伸びています。実はこの湖、地元のクイーンズタウン人にもその存在があまり知られておらず、ましてやトレイルの存在などほぼ知られていないような、そんな隠れた存在です。
このトレイルはトポマップにも載っていません。このトレイルの入口は、１２マイルループトラックを時計周りに周って一つ目の橋を過ぎた辺り。途中注意深くケルンを追っていかないとトレイルを見失いやすく、その先の道のりを考えても、そこそこ自信のあるトレッカー／トランパー以外にはお勧めのできないコースながら、この湖の美しさ、そしてＭｔ．クライトンからの眺めは特筆ものです。
所要時間は、登りが４時間から５時間半ほど、降りが３時間半から４時間ほど。ところどころキツめの登りや、足を外すと楽しくないことになりそうな場所、また足元が不安定な場所などもあります。トレイルがあるのは基本的に森林限界を超えて少し上がった辺りまで。そこから先はどのようなコース取りをしても構いませんが、尾根をずーっとたどって行くとかなり足場が不安定になり、少し山を下ってトラバースをし、また登り返すようなことになるようなので、途中からタソック＆ガレ場をトラバースして行くことをお薦めします。
なかなか苦労する道のりですが、そこに待っているイゾベル湖は美しいの一言。湖自体の規模こそ大きくありませんが、深い緑色の水をたたえたイゾベルは、穏やかな日には鏡のように辺りを映し出しています。また圧巻なのは「こだま」。この湖は周りを３分の２周ほど山に囲まれているのですが、湖に向かって叫ぶとその山々に反射してきれいなこだまがはっきりと１０回以上返ってきます。私たちの仲間内でMagic Place と呼ばれている理由です。
このイソベル湖からＭｔ．クライトンの山頂、標高１８７０ｍまではおよそ２０分。その山頂からはワカティプ湖はもちろん、フィヨルドランドナショナルパーク、Ｍｔ．アスパイアリングナショナルパークの山々を見渡す、大パノラマを楽しむことができます。
このトレイルは先にも述べた通り経験者向け。本格的な「登山」の経験は必要ありませんが、バックカントリールートの経験はあった方が良いでしょう。秋場さんのこのＨＰをご覧になってる皆さまには、「Ball Pass Route よりも難易度が少し低め」と言った方が具体的でわかりやすいかもしれません。この周辺の土地カンがあれば、周りの山や谷から自分の居場所を割り出すことは比較的容易ですが、念のためトポマップとコンパスの携行をお薦めします。
また夏の日が長い時期であればデイハイクは十分に可能ですが、テントを持って１泊されるのも良いかもしれません。ただしその場合には、天候には十分にお気をつけいただき、余裕を持った装備をされてください。この地域は年間を通して積雪の可能性があります。
このトレイルに興味をお持ちの方は、ぜひご出発前にこのトレイルを知っている人から情報を収集されてください。１２マイルループトラックから入ると言っても、知らなければどこが入口なのか見当もつきませんし、トレイルがどの方面に伸びているのか事前に知っていれば、もしトレイルを見失った場合でも（本当に見失いやすいです）対処がしやすくなります。また私の働いているショップにお越しいただければ（クイーンズタウンの Outside Sports というショップに勤務しています）喜んでご案内をさせていただきます。１２マイル同様車がないとアクセスしにくいトレイルですが、地元の人たちにもあまり知られていない場所で、本当は内緒にしておきたい、でも時間も興味もある方にはぜひ行っていただきたい、そんな Magic Place です。
レイクイゾベル
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