本屋に行くと必ず旅行本コーナーをチェックするのですが、なかなかないんですよねぇー、バックパッカーが書いたニュージーランド旅行記って、、、
アジアに関しては、貧乏旅行・バックパッカー旅の視点で書かれた本がゴマンとあるというのに、ＮＺに関しては皆無。
あれだけ、バックパッカー旅行者が多くて、伝説的な"旅の猛者"みたいな人たちもいっぱいいたのに、なぜなんでしょう？？
皆さん、こんなふうに感じたこと、ありませんか？
そんな前置きをしつつ、今日ご紹介したいのが、「湿潤緑香 New Zealand」（上野珠理/著）という一冊の本です。
"湿潤緑香 New Zealand 〜自然と交歓する旅"
「湿潤緑香 New Zealand」の表紙と裏表紙
これがズバリ、長期旅行のバックパッカーが描いたニュージーランド・トレッキング旅の本なんですね。
残念ながら、書店で市販されている本ではないのですが、はじめてこの本を見たとき、背筋がゾクゾクしてしまいました。きちんとした本の形でここまでバックパッカーの旅心を描いたものは他にみたことありませんでしたので。
ウェブサイトではいくらでも旅の世界を垣間見ることができますが、本の形となると受ける印象がまったく違うから不思議。
なにはともあれ、「湿潤緑香 New Zealand」の内容について触れていきたいと思います。
（ちなみにタイトルの『湿潤緑香』（しつじゅんりょっこう）とは、作者／上野珠理さんの造語。ミルフォード・トラックの苔むした森の様子をイメージして考えたのだそうです。いいですねぇ〜）
こういうスタイルの本をどう表現したらいいのかわかりませんが、妹尾河童氏の「河童が覗いたインド」のような感じといいましょうか。イラストと手書きの文字で綴られた旅行記・旅日記になっています。
緻密な線画：どこの風景だかすぐわかりますよね？
作者の上野珠理さんは、2002年10月〜2003年9月までワーキングホリデー・ビザでニュージーランドに滞在していた方で、最初はミルフォード・トラックのガイドウォークから始まり、トランピングにどっぷりはまっていく様子がリアルなイラストとともに楽しく描かれています。
この本はとにかくイラストがスゴイ！ 写実的な線画で描かれるニュージーランドの風景は、一目みて、「あ、Welcome Flatの温泉だ！」などとピンとくるものばかり。道路標識や看板など、思わず「懐かしい〜」と声をあげてしまいそうなカットが随所にちりばめられています。
全編手書きで綴られる文章もおもしろく、バックパッカーの日常や、流れに身を任せる長期旅の醍醐味、そしてニュージーランドならではのトレッキングの魅力、、、、
ニュージーランド旅行経験者はもちろん、バックパッカー/トランピング旅入門書として、これからＮＺへ行こうという人、特に女性に読んでもらいたい一冊です。
本の主な内容を書き出してみますと、、、
・ニュージーランドとトランピングの一般知識
・クライストチャーチ
・テカポ
・マウントクック
・ワナカ
・クイーンズタウン
・Milford Track（ガイドウォーク）
・Copland Track
・Greenstone - Caples Track
・Routeburn Track
・テ・アナウ
・Kepler Track
・Manapouri Track
・Mavora Walkway
・Waitutu Track
・Abel Tasman Coast and Inland Track
・ダウトフルサウンド
・フランツジョセフ氷河
・カトリンズ・コースト
・映画"The Lord of the Rings"のロケ地巡り
この本を読んでいて、とても懐かしい気持ちになってきました。この感覚なんだろうと、ふと思い出したのは、ニュージーランドのバックパッカーズやユースホステル（ＹＨＡ）に置いてあるビジターズ・ブック(Visitor's Book：寄書き帳)でした。
上野珠理さんの優しい手書きの文字を見ているときの感覚、そうだ、ビジターズ・ブックを読んでるときの感覚なんだ！ そんな気がしてきました。
筆者からメールをいただくまで全然知らなかったのですが、筆者の上野珠理さんは、北海道ライダーの間では有名な方だったようです。上野さん自身が大型バイクにのるライダーで、北海道を旅してはそのイラスト旅行記を毎年発表していたそうで....
それがワーホリ（ワーキングホリデー）帰りの今年は、異例のニュージーランド・トレッキング本になった、というわけですね。
もともと本を作っていた方だけあって、絵・文章はもちろん、まとめ方とか構成、編集もさすがです。以前にぼくが試行錯誤で作ったガイドブック（もどき）とはまるで比較になりません(^^;
"The Lord of the Rings"のロケ地巡り本
今回のニュージーランド旅は、トレッキングの他に、映画ロード・オブ・ザ・リングス"The Lord of the Rings"のロケ地巡りも目的だったそうで、湿潤緑香の中でも若干触れられています。それとは別に、"Journey to Middle-Earth"という映画ロケ地巡りに特化した冊子も併せて制作されたようです。一時日本からもロケ地ツアーが組まれたりしましたが、興味がある方は、同書を手に入れてご自分で巡ってみるのもいかがでしょう？
〜上野珠理さんの本を手に入れるには〜自主制作されている"湿潤緑香"は、書店では手に入りません。興味がある方は直接作者に連絡してみてください。B5版 78ページの本の実費が900円、送料が290円（日本国内の場合）となっています。 また、ロード・オブ・ザ・リングスのロケ地巡り本"Journey to Middle-Earth"は写真と文章のみの構成で、B5版28ページ。本体400円 送料180円です。 "Journey to Middle-Earth"は、すでに完売してしまったそうで、現在は入手できないそうです。『湿潤緑香』はまだ若干の在庫があるとか。興味がある方はお早めにどうぞ。（2006年11月3日追記） 夢創庫／上野珠理 |
