2002.3.7 − 3.8
今回の旅はかなりギリギリで決まりました。シンガポール航空のキャンセル待ちをかけて、チケットが取れたのが出発の1週間前。もうてっきりダメで第二希望の大韓航空になるものだと思ってました。この場合の出発日はさらに1週間後。だからなんの準備もしてなくて、いざチケットが取れてからてんてこ舞いでした。案の定、細かい忘れ物がボロボロとあって、現地で買い足すハメに。（水筒、浄水剤、ズボン、ザックのサイドポケットとか）
今までニュージーランドに行くには大韓航空を使っていました。世間ではなにかと評判が悪いけど、ぼくはけっこう好きでしたよ。サービスは悪くないし、機内食のピビンバはおいしい。なによりチケットが安い。マイルも貯まっていたんですが、おととしあたりからクライストチャーチ行きの運行便が廃止になってしまったので、やむなく今回はシンガポール航空になりました。
シンガポール航空といえば、サービスは世界一という話を聞いたことがあります。チケットじたいは安かったんですが、どんなもんだろうととても楽しみにしていました。
乗ってみると、各シートに小さなディスプレイがついていて、テレビゲームまでできるのにはビックリ。あいにくテレビゲームをする趣味はないので、まったく手をつけませんでしたが、好きな人には暇つぶしに最適でしょうね。フライトアテンダントのユニフォームも体にぴったりした民族衣装のようなもので、とっても新鮮でした。
きめの細かい飲み物サービスとか、なかなかいい感じじゃんと思ってたんですが、問題は食事のときに起こりました。といってもそんなたいしたことじゃないんですが、ひとことでいうと配膳をすっぽかされたんです。となりに座っていた2人に食事を配った後、たぶん足りなくなったんだと思うんですが、ワゴンごとどっか行ってしまいました。
まあ、そのうち来るだろうと思ったら、その後ちっともアテンダントの姿を見せない。まわりを見回すと配膳されていないのは自分だけ。あんまりギャーギャー騒いでもみっともないし、じっと我慢。ようやく乗務員が動き出したと思ったら、食後のアイスクリームを配り始める始末。これは絶対に忘れてるなと思って、近くにきた乗務員に「さっきから待ってるんだけど…」と言うと、「トイレに行ってなかった？」思わず力を込めて「んなことない！ ずーっと、座ってましたっ」って言ってしまいました（もちろん英語でです）。そうしたら急にすごく申し訳なさそうな顔になって、アイスクリームを配る作業を中断してすぐに持ってきてくれました。
まわりの人に遅れてようやく食事にありつけたわけですが、この後からのフォローがすごかった。アテンダントが通路を通るたびに、「ワインをもっといかが？」とか「なにか足りないものは？」ってとびきりの笑顔で声をかけてくるんです。それは食事後も続いて、もういいって言ってるのに、なんどもなんども。勧められるままにワインとかビールを飲んでたら、ホントに泥酔しちゃっただろうなってくらい。それから「ご旅行はどちらへ？ え、山歩きするんですか？ すごい！」みたいな世間話とか、とにかくなんだか優遇されているみたいで、だんだん気分が良くなってきてしまいました。最後には、「これ持っていって」と大きな紙袋を渡されて、なかにはアメニティグッズというのか、アイマスクやスリッパ、耳栓、トランプ、絵はがきその他諸々がたくさん入ってました。これからバックパッカー旅をしようとしているのに正直ジャマだなぁと思ったのですが、しっかりいただいてきました。
すっぽかされて待っている間は、シンガポール航空最悪！ なんて思っていたのに、その後のフォローですっかり丸め込まれてしまった自分。まったく現金なものだと思うけど、正直な気持ちです。
サービスってすっごく大切だなと思いました。ほんと一人のミスで会社全体のイメージがすっごくかわってしまうのだから。失敗するのも個人、それをフォローで取り返すのも個人。そんなことを考えました。
ニュージーランドに着いてから、出会う人にそんな話をしたらシンガポール航空にまつわるいろんなうわさを耳にしました。
- シンガポールは法律で「ポイ捨て禁止」とか、国家をあげてクリーンな良いイメージを作ろうとしている。シンガポール航空もおなじで国家の威信にかけてサービスに力を入れている。
- 飛行機の中に一般の客に紛れて航空会社の監視員が乗っていて、逐一サービスの善し悪しをチェックしている。
- 民族衣装のようなフライトアテンダントのユニフォーム。体にぴったりしたデザインだけど、あれは入社時に採寸して作ったあと、サイズの変更は許されていないとか。つまり入社時の審査に通ったときの体型を維持しなければ、辞めなくてはいけない。（男性乗務員はベルボーイみたいなさえないスーツ。女性をマスコットにしているのがミエミエですな）
ほんとかどうかはわかりませんが、まあ、いろいろと話題になっている航空会社のようです。
シンガポールからクライストチャーチまでは、シンガポール航空とニュージーランド航空、ルフトハンザ航空の3社協同運行になっています。実際のところニュージーランド航空の機体とスタッフがあたっているわけですが、シンガポール航空のあとで乗るAir NZはどうもイマイチでしたね。全体的に男性スタッフが多いのがあるのかもしれませんが、笑顔より元気さというかリズミカルなノリでサービスするかのようで、きめの細かさが感じられなかった。
まあ、なにはともあれ2002年3月8日に4度目のニュージーランドの地を踏むことになったのでした。続きの話はまた今度。
追記：シンガポールの空港、なかなか快適でよかったです。熱帯植物を植えた庭園みたいなのがあったり、リクライニングで仮眠できる椅子があったり。聞くところによると屋上にはジャグジーまであるそうです。
