トランピングで触れるニュージーランドの自然はすばらしい。
それは間違いないけど、ニュージーランド自体が自然豊かな国なのかといえば、ちょっと疑問に感じる。 ニュージーランドをバイクで走っていると、どこまでもいっても景色がかわらない。柵で囲われた牧草地が、あきれるくらいに延々と続いている。
一見すると緑色でのどかな風景だが、考えてもみてほしい。この土地は昔はいったいなんだったのか？ 昔からこんな木一本生えてないような草原だったとは思えない。本来は小高い山だったであろうところまで、見事に緑の絨毯に敷きかわっている。
これがすべて人の手によって開発されたものだったとしたら……？
ニュージーランドの道路をバイクで走っていて、木の生えた森や山があったと思うと、ほとんど例外なく国によって管理された Forest Park や National Park だった。
ぼくの印象ではこうした保護された地域以外はすべて牧草地になっていたように思う。たとえばもしこの牧草地がすべてビルや工業地帯になっていたら、と想像してみれば、その開発のものすごさがよくわかると思う。
環境問題／ナチュラリズム先進国というイメージのあるニュージーランドのなかで、このことはちょっとした驚きだった。
（ 秋場 研 2002.5/30）
