Hanmer Springs
− ハンマースプリング 〜ＮＺ南島の温泉郷 −

ニュージーランド南島でいちばん有名な温泉地といったら、なにはさておきハンマースプリングスだ。

クライストチャーチから北西へ車で約2時間。山々に囲まれた静かな場所にポツンと現れる清楚なリゾート地。

南島では2箇所しか知られていない観光地としての温泉。そのなかでもハンマースプリングは古くから温泉保養地として広く知られてきた。

古くさかのぼればハンマー・スプリングスの温泉は先住民族マオリたちに利用されていた。1884年にニュージーランド政府施策によって本格的な温泉施設が作られて以来、120年にわたりニュージーランド南島随一の温泉保養地として栄え、今日に至っている。

クライストチャーチ市街から、荒涼とした広い谷あいの道をひた走ること2時間ほどで、ハンマースプリングスの町に着く。忽然と町が現れる感じで、なんだか砂漠のオアシスのような印象な町だ。

温泉を中心に発展してきた町で、「温泉町」とも言えるかも知れないけど、日本のそれとはだいぶ毛色が違う。温泉宿がいくつも並んで…というわけではなく、温泉に浸かれるのは、町の中心にあるハンマースプリングス・サーマル・リゾートという施設が唯一。

その温泉にしても、そとから眺めると、子どもたちの声が響くプールのような雰囲気で、日本のような「温泉」の情緒はまったくない。

ハンマーには、いわゆる日本チックな温泉情緒を求めてやってきてはいけない。ニュージーランド式の「温泉複合リゾート地」を体験するというつもりで訪れるとちょうど良いかも知れない。

ハンマースプリングの温泉 Hanmer Springs Thermal Reserve

ハンマー・スプリングス・サーマル・リザーブの中に入ってみると、そこはやっぱり完全にレジャープールの世界だ。25メートルプールはもちろん、流れる岩風呂、サウナなど、何種類もの湯船（というよりプール）が並んでいる。子供向けの区域もあって、そこには大きなウォーター・スライダー（滑り台）があって、こどもたちの黄色い声が響いている。

プールサイドにレストランやカフェもあって、かなりリゾートな雰囲気。こども連れの人でも、カップルで行くにも、1日中のんびりするにはいいところかも知れない。木々に囲まれた施設。ふと上を見上げれば青い空と遠くの山並み。入場料$10ながら、かなりリッチな気分に浸れる。

意外と勘違いされているみたいだけど、ハンマー・スプリングス・サーマル・リザーブ内にあるいくつものプール、これらがすべて温泉水というわけではない。

ほとんどのプールはただの水、もしくは温水で、しかもかなり塩素くさい。これだけみると、「温泉なんてウソじゃん！」という思ってしまうのも無理ない。（実際、僕の友人には、ハンマーに行ったけどプールくさいだけでぜんぜん温泉っぽくなかったと文句を言っている人がいた。よくよく聞いてみると肝心の温泉水が引かれたプールの存在に気づかなかったらしい）

実は、ハンマースプリングの温泉が引かれているのは、すみっこの方にある"Sulphur Pools"と呼ばれている小さな3つの湯船だけなのだ。（Sulphurというのは硫黄のこと。つまり硫黄泉）

ハンマースプリングの硫黄泉 Sulphur Pools

これはこれで思ったほど悪くはなかった。温度は湯船によって違っていて、40〜41℃。ニュージーランド人からすればかなり高めの温度で、日本人でも納得の湯温だと思う。無色透明ながら"Sulphur Pools"というだけあって、硫黄の香りがする。それだけではなく、入ってみると、肌にぬめる感じがあって、そこそこに存在感のあるお湯だった。

湯温が高めのせいか、人でごったがえしていることもなく、静かな入浴を楽しめた。

一見、ワサワサした感じもする施設ではあるけど、温泉として見ても、まあ、悪くはないなというのが筆者の印象だった。

ハンマースプリングの町

ハンマースプリングはメイン通りに沿って、おしゃれなカフェやレストランが並ぶプチ・リゾートという感じ。バックパッカーズが数軒と、モーターキャンプ、ホテルなど、宿も各種揃っている。

スーパーマーケットは、Four squareが1軒あるのみ。できるならクライストチャーチあたりで食料を買い込んでおいた方がいいかもしれない。

ハンマースプリングのすぐ裏手は、Hanmer Forest Parkという森林公園になっていて、ちょっとしたハイキングコースがたくさんある。（DOC発行の$1のパンフレットを参照）乗馬や、ラフティング、ジェットボート、バンジージャンプなどのアクティビティも豊富。クライストチャーチあたりから、週末にのんびりしに行くのに最適なディスティネーションかもしれない。