◆ 動物好きにはたまらない　「ノアの方舟」バックパッカーズ

ニュージーランド南島のグレイマウス Greymouth に一風変わった宿がある。その名もノアズ・アーク・バックパッカーズ "Noah's Ark" Backpackers という。日本語に訳すと「ノアの方舟」バックパッカーズ。ノアの方舟といえば、旧約聖書で地球のすべての動物を乗せて大洪水を逃れたという言い伝えがある。

そんなわけで、このノアズ・アーク、なにが楽しいって、宿中が動物であふれているのだ。
数ある部屋にはそれぞれ動物の名前がついていて、たとえばペンギンの部屋はペンギンの置物や家具で統一されている。壁や天井にはペンギンの絵でいっぱい。そんな感じでライオンの部屋、ラクダの部屋、ネコの部屋などたくさんある。

チェックインの時に、「あなたはブタさんのお部屋ね」なんて言われる。

調度品や小物を見ても、よくぞこれだけ集めたというくらいに動物色に染められてホントみごと。

もちろんノアズ・アークには本物の動物もたくさんいる。ここに載せた写真は1998年のもので、その当時は、白い大きな親子の犬が2匹と黒い犬、ネコが3匹、ウマ、ニワトリなどがいた。犬とネコは放し飼いで敷地内や建物内を自由に歩きまわっている。

　

夕食時になると、2匹のワンコはリビングに入ってきて、各テーブルをまわってはジッと客を見つめては食べもののおねだり。食べ物をあげる人もいれば、敢えてなにもあげない人も。見込みがないと思うと、彼らは次のテーブルへと移動していく。慣れたものだ。

ネコはそこまで人に媚びをうらないものの、けっこう人なつっこい。とくにぼくが「ピタネコ」と呼んでいたヤツは、ひょこっと人の膝の上に乗ってくると思うと、身を伸ばしてぼくの肩に手をかけてくる。なにをするのかなと思ったら、そのまま身体をぴたっと密着させてただじっとそうしている。甘えたかったんだね。ピタッとくっついてくるネコ、だからピタネコ。

ピタネコ

このノアズ・アーク・バックパッカーズは動物好きにはたまらない宿だと思う。考えようによってはキッチンやダイニングに平気でネコやイヌが出入りするなんて、衛生上は好ましくないのかもしれない。動物嫌いにとっては我慢できないと思う。でも、こんな宿がぼくは大好きだ。

　

この宿は、もと修道院だった。Noah's Ark (ノアの方舟)という名前の由来はその辺も関係しているのかも知れない。お屋敷のような重厚な造りで、とても広々としている。さらに庭ではテントを張ることも可能（宿泊料金がちょっと安くなる）。かつては朝食にパンとジャム・バターが無料で振る舞われるというサービスもあった。現在は朝食サービスはなくなっているものの、宿の雰囲気は昔と変わらない。

グレイマウスは"観光"という意味ではいまいちパッとしない町なのは確かだ。でも、このノアズ・アーク・バックパッカーズに泊まることをひとつのアクティビティとしてもいいんじゃないのかなと思える、そんな魅力的な宿だった。