◆ 使ってみました！　CD-ROM版 Topomap（地形図） ◆

日本で言うところの国土地理院地形図に相当するニュージーランドのトポマップ Topomap シリーズ。ニュージーランド全土を網羅する精度の高い 1/50,000 地形図です。1枚$12前後と、安いものではないのですが、トランピング（トレッキング）をしているとついあちこちの地図がほしくなってしまうもの。いっそのことニュージーランド全国すべて（何枚になるんだ？）がほしいという人もきっといるはず。（ぼくだけ？）

そんなとき便利なのがＣＤ−ＲＯＭ版 Topomap です。トランピングに必須のこのTopoMapシリーズが CD-ROM 化されていたのをご存じでしょうか？

ニュージーランドには Map World という地図専門店があるのですが、そこが出している"MapWorld TopoMap New Zealand"という CD-ROM がそれです。"South Island" 編と"North Island" 編に分かれていて、それぞれNZ$299です。

どんなものだか、試してみたのでレポートします。

このＣＤ−ＲＯＭ版地形図はパソコンのハードディスク内にすべてのデータをインストールして使うこともできますし、ＣＤ−ＲＯＭから起動することもできます。いずれの場合も最初に使うときにシリアルナンバーの入力が求められます。

画面キャプチャー

こうしたデジタルの地図を使うのは初めてだったのですが、パソコンならではのデータベースとしては非常に便利なものだと感じました。注目したのは以下の点です。

１．地名検索機能
２．継ぎ目がなくシームレス

[ 地名検索 ]

このＣＤの場合、画像がjpg形式のラスターデータにもかからず、地名検索が可能になっています。地図上のすべての地名と座標がすべて入力されているのでしょう。そのおかげで、ほんと便利に使えます。温泉を探そうと思って、springと入力したら、該当する場所一覧がずらっと出てきて感動してしまいました。

[ 継ぎ目がなくシームレス ]

Topomapは日本の国土地理院の地図とおなじで、全国を事務的に碁盤の目に区切ってあるだけなので、歩くコースによっては地図が2枚や3枚にまたがることがあります。実際の馬鹿でかいTopomapを広げてつなぎ合わせてみるというのは一苦労で、少なくとも山中を歩きながらできるような芸当じゃありません。

その点、ＣＤ版のこの地図は、マウスでドラッグしてスクロールさせても、地図のつなぎ目が見事に結合されていて、ほとんどそれを意識するなく使うことができました。さらにそうして結合させた状態のまま、画面をコピーして別のアプリケーションに張り込んだり、印刷できるというのも非常に便利です。

インターフェイス面はだいたい満足できたのですが、強いていうなら、Photoshopのようにドラッグして選択した範囲だけを画面いっぱいに拡大するような機能があったら良かったのにと思っています。登載のズームイン機能を使うと画面の真ん中を中心に拡大されるようですが、それに気付くまで、拡大につれて対象が画面から消えてしまうことを何度か経験しました。もっとも拡大はしても画面はぼやけていくだけなので、画像解像度をどうにかしてもらわないと困るのですが。

あともう一点、マウスでドラッグした距離を測定してくれる機能があったら便利かも知れないですね。まあ、地図上のグリッドが1キロ四方を示していますので、大まかな見当はつきます。

[ 致命的な欠点 ]

反対に欠点ですが、画質があまりよくないというのは致命的です。紙の地図をただフラットヘッドスキャナで読みとったような感じで、しかも72dpiで、圧縮度は Photoshop でいうところの10段階中5になっていました。

この数値を見るかぎり、ディスプレイで見ることしか想定していないことがうかがえます。拡大機能もありますが、拡大用に別の細かい画像が用意されているのではなく、一律72dpiの画像をただ単に拡大表示しているだけなので、拡大したところで、不鮮明で読めないところは、読めないままにただ大きくなるだけという結果になっています。

等倍状態での鮮明度でも細かい文字が判読しにくいというのは致命的な問題だと思います。温泉マークを探してみましたが、元々小さい上に他の色に紛れて、拡大してもほとんど確認することはできませんでした。

標準状態	2段階に拡大

やはりもっと解像度を上げるか、せめて拡大時には別のもっと見やすい画像に替えるなどの配慮があれば良かったのですが。もっともＣＤ−ＲＯＭの容量を見てみると627MBとCD-ROMの最大限ギリギリなので、南島をCD-ROM1枚でカバーするためにはこの解像度が限界だったのでしょう。

その点、最大の理想を言えば、地図データを単なるスキャナで読み込んだようなラスターデータではなく、原画を作る際に使われたであろうベクトル系のデータだったらよかったのに、ということです。

ベクトルデータなら、字が細かくて読めなかったとしても拡大すればちゃんとなめらかな線のまま大きくなります。そのような形式だったら、使い道も広かったと思うんですけどね。（パソコンの処理速度や著作権の問題で難しいとは思いますが）

[ 評価 ]

最初は、このCD-ROMを一枚買えば、あとはプリントアウトすれば、地図をいちいち買わなくて済む！　と思ったのですが、そうはうまくいきそうにありません。現地で実際に山歩きをするときの地形図代わりにはならないでしょう。地図画像の解像度が低いので、かなり厳しいと思います。地名からの検索や、おおざっぱな山行計画には便利に使えるんですが、いざ山に入るときは、プリントアウトしたものでは役に立たず、きちんとした紙の地形図を別途購入する必要がありそうです。本当に画像が荒いのだけが残念です。

どこか歩きたいコースがはっきり決まっていて、なおかつそれが数ヶ所程度の人にはあえて買う必要がない高価な買い物かも知れません。でもニュージーランド全土に興味がある人には、地名検索ツール＆情報源として、とても便利なものだと思います。

制作・著作　秋場 研 http://homepage2.nifty.com/treknz/ e-mail : AKIBA_Ken