◆ ニュージーランド・トランピング道具講座

■山の装備 日本からの準備

トランピングが国民的レジャーともいわれるニュージーランド。国をあげてアウトドア・スポーツが盛んなのは事実ですが、アウトドア装備の充実を考えると日本のほうが断然上です。

たとえばアメリカの場合、山道具が驚くほど安いから、飛行機の重量制限を気にしながら日本から装備を持っていくよりは現地調達したほうが楽だなんていいますけど、ニュージーランドの場合、日本から持参して正解でした。

ニュージーランドでもひととおりのものは揃います。でも値段は割引のない日本の定価くらいで、選択の幅は極端に限られます。また彼らは日本人ほど気にしないのか、軽量コンパクトを追求したような商品はあまり見かけませんでした。まあ、近年為替相場で日本円が強くなっているので、以前ほどの割高感はなくなってきているようです。

これから、各論のところで説明していきますが、少なくとも基本装備の靴とレインウェアは絶対に日本で用意していくべきです。バックパックやスリーピングバッグに関しては Made in New Zealand で世界水準の優れた製品が手に入ります。このあたりは、どうせ新調するなら、おみやげの意味もかねて、ニュージーランドで買うのもいいんじゃないのかなと思います。　→【参考】　マックパックとフェアリーダウン

ただ、スーツケースで行くのでないかぎり、バックパックは、日本出国のときから担いでいくものですし、寝袋もフラット（アパート）を借りたり、バックパッカーズに泊まるとなったら、入国後すぐに必要になるものです。

その辺の判断が難しいところですが、不慣れな異国の地で寝袋を探し回るのが不安であるなら、かさばりますが、日本から持参したほうが無難です。

★ テント類をニュージーランドに持ち込むときの注意

ニュージーランドでは、テントや登山靴など、ドロが附着している可能性がある物品の持ち込みを制限しています。これは農業国家なため、植物の種子や菌が入り込むのを防ぐため。

トレッキングシューズの場合、チラッと見せて「汚れてないでしょ？」　と言えばＯＫなんですが、テントがちょっとやっかい。たいていの場合、拡げてチェックされます。テントをザックから出すのもおっくうだし、それをまた仕舞うのもギューギューのザックでは至難の業。

そこでこの現品チェックを避けるアイデアをひとつ。入国カードに「使用済みのテントを持っているか」という項目があるので、まずは正直にチェックを入れます。で、その脇に「washed」と書いておく。

これでチェックされる可能性が格段に下がります。たぶん係員は「ドロはついてないか」「洗ったのか？」と念を押してきますので、とにかくきれいだということをアピールします。

くれぐれも「テントを持ってない」と嘘の申告をするのはやめた方がいいと思いますよ。虚偽の申告をすると$200の罰金です。テントで罰金を受けた話は聞いたことありませんが、食品関係で、これを食らった人がいますので、ご注意を。

■トランピングに必要な装備

基本的な装備は日本のトレッキングと同じです。初歩的なことは山の入門書などをご覧ください。

[グレート・ウォークを歩く場合]

ニュージーランドで特にすばらしいといわれている８つのコース（Great Walks）の場合、ほとんどのハット（山小屋）に炊事用のガス・ストーブが用意されています。よってキャンプ用コンロ（クッキング・ストーブ）を持参する必要はありません（夏場のみ）。ただしコッヘル(billy/鍋)と点火用ライターは必要です。グレートウォークでもAbel Tasman Coast TrackとRakiura Trackにはガス・ストーブが設置されてないので注意。

基本的にハット（山小屋）からハットを泊まり歩くことになるのでテントは必要ありません。Milford Track以外はテント泊で歩くこともできますが、トランピングの楽しみのひとつは「快適な山小屋で過ごす時間」だと思うんです。日本でテント派だった人も、食わず嫌いをしないでニュージーランドの小屋を利用されることをおすすめします。ついでながら貧乏くさいことをいわせてもらうと、Routeburn Track は山小屋代がべらぼうに高いので、その３分の１の値段ですむテントサイトも利用価値はあると思います。

[バックカントリー・トラックの場合]

過剰とも思えるほどに整備されているグレート・ウォークと違って、バックカントリー・トラック の小屋は本当にベーシックです。基本的に調理用ストーブは要持参です。名の通ったコースなら、きちんとした小屋があってベッド＋マットレスが整っています。しかし、あえてマイナーなコースを歩こうとすると、小屋はあっても掘っ建て小屋だったりということも…。その場合、キャンプ用ロールマットや、場合によってはテントも必要になってきます。

■各論 −ニュージーランドの山道具事情

制作・著作　秋場 研 http://homepage2.nifty.com/treknz/ e-mail : AKIBA_Ken