ヒッチハイクは有効な旅の手段
ニュージーランドでヒッチハイクは、けっこう一般的な移動手段といえる。社会も広く認識しているらしく、トランピングのインテンション・カードの帰路の欄に「ヒッチング」の項目があったりする。
時間さえあればヒッチのみで旅を続けることも十分可能だ。そうしている旅行者も少なくない。
ただでさえバスの本数が少ない国だから、ヒッチハイクのほうが便利という面もある。特にトランピングの場合、トラック入口までの交通は特別にアレンジしてもらうことが多いので割高につく。そんなときもヒッチハイクが役に立つ。
（日本でもおなじみのヒッチハイク hitch-hike という言葉、、ニュージーランドでは、ヒッチング Hitching もしくは、ヒッチハイキングということが多い。）
成功率
ヒッチハイクは一般的と書いた。でも実際のところ経験上、確率は日本の方が高いように感じた。これまで沖縄、北海道〜東北〜関東とヒッチの旅の経験がある。日本で１時間以上待つことはマレだった。その点ニュージーランドは車の絶対数が少ないのか、下手したら数時間以上は待たされる。車の流れが速いことも関係しているのだろう。
ヒッチハイカーの間で、この区間はむずかしいといって避けて通るようなルートがある。たとえばウェストコーストなど。交通量が少ない上に雨が多いので評判が悪い。そのあたりでは最初からヒッチをあてにしないで、「リフト」を試みる人が多い。リフトとは、バックパッカーズなどで車で旅行している人に声をかけて、同乗させてもらうこと。ガソリン代のシェアを申し出るのがマナーだ。
ヒッチハイクの下準備
ぼくの場合、ヒッチハイクは時間に余裕があるときしかしなかった。いついつまでにどこに着かなくちゃいけない、というシチュエーションにヒッチは向かない。それにどこで降ろされてもいいように、数日分の食料と水は必ず持っていた。トランピングの基本装備としてテントや寝袋があったのも心強い。というかこれらがなければぼくはヒッチをする勇気がなかった。
親切なニュージーランド人のことだから、日暮れ前になんにもない道路の真ん中で下ろされることはないと思うけど、絶対ないとは言い切れない。この辺のリスクをどう考えるかは各個人次第だろう。
またヒッチをするなら、ニュージーランドの道路地図 も必ず準備しておきたい。「自分は○○にいくから、そこまでなら乗せてやる」と言われることが多いけど、それがどこなのかわからなければ話が通じないからだ。まあ、ガイドブックについているＮＺ全図では、大まかすぎてちょっと心許ない感じがある。
待つポイント
ヒッチで立つポイント選びは重要になる。常識的なことだけど、見とおしの良い場所、路肩に駐車スペースがあること、というのが基本だ。
ふつうは町から郊外へ出るあたり（50キロ制限から70キロもしくは100キロにかわる辺り）がポイントになる。大都市からスタートするなら、そこまでは市バスで移動する。具体的な場所はバックパッカーズ（宿）のオーナーに相談すればアドバイスしてくれると思う。
決してヒッチを薦めません
ヒッチハイクの危険性の話。ぼくの知り合いで、ひとりでヒッチで旅していた女の子が何人もいた。決して薦めらた行為ではないけど、ニュージーランドの場合、すくなくとも即自殺行為というほどではないようだ。
リスクをわきまえた上で、毅然とした態度と勇気 ―たとえば停まってくれても怪しそうならはっきりと断るなど― があれば、女性一人でも大丈夫だと思う。（事故があった場合の社会的波紋とかそんな下らないことはここでは触れない）
総じてニュージーランダーはいい人が多い気がするけど、男でも危険がないわけではない。同性愛者に迫られたという話もたまに聞く。
なにより男女ともに覚えておかなければならないのは交通事故の危険だ。ニュージーランド人の運転は荒い。これはたぶんまちがいのない事実だと思う。100キロ制限の道路で、巡航はだいたい120から150キロくらい。それでいて高速道路ではなく、あくまで一般道だから、いきなり急カーブが現われて15キロに減速しろなんて場所がざらにある。
ニュージーランドの事故の深刻さはテレビの交通安全ＰＲのＣＭに強烈に現われている。はじめて見た人はきっと唖然とすると思う。とにかくどぎつい。血だらけの死体、事故後に待っている暗い沈んだ生活。慣れないうちはこれを見るとしばらくブルーな気持ちになる。
とにかく、ヒッチハイクは安易な気持ちでやってはいけない。最後にちょっときついことを言うと、たとえヒッチハイクでなにか事件・事故に巻き込まれたとしても、あとからギャーギャー騒ぐのはやめてもらいたい。
もっと極端にいうと、被害者面で警察に訴えるというのも考えものだ。あなたはそれだけのリスクを承知の上でヒッチハイクという行為に臨んだのだから。なにがあっても笑って済ませられるような、そんな人だけがヒッチをする資格がある、というのが本当じゃないかと思う。
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