90マイル・ビーチ ninety-mile beachをご存じでしょうか? ニュージーランドの北端に突き出した岬に広がる長い長い海岸です。90マイル(145km)というのは大げさですが実際に100キロ近くまっすぐな海岸線が続いています。 この浜が特別なのは、車やバイクで海岸線を走れてしまうこと。砂浜の上を、です。このあたりは遠浅になっていて潮が引くとしっかりと締まった広大な平らな土地が現われるんです。 観光スポットにもなっていて、最北端の街 カイタイア Kaitaiaあたりからバスツアーも組まれています。派手にペイントされたバスが波しぶきを上げながら波打ち際を疾走している写真をガイドブックなどで見たことがあるんじゃないでしょうか。 自分のバイクで旅しているからには、ぜひともそこを走らねばということで、行ってきました。 レンタカーは乗り入れ禁止になっているせいか、浜へのアクセスポイントなどの具体的な情報は現地にいくまでさっぱりわかりませんでした。そこでぜひ自分で90マイル・ビーチを走ってみたいという人のために、当時集めた資料と記憶を頼りに90マイル・ビーチ周辺マップを作りました。下の地図がそうですが、印刷したい人のために別にPDF版も用意しています。ご利用ください。 ぼくは岬の真中あたりにあるバックパッカーズ "North Wind Lodge" をベースに行動していました。親切なおばあちゃんと生真面目そうなおじいちゃんのやっているアットホームな宿です。 BBH のパーセンテージも高く、なかなかお勧めです。でも国道を外れた砂利道の先にあって自分の車がないとちょっと不便。海が近いので、食料を買いこんでいってのんびりとするにはとてもいいでしょう。97年度の BBHには書いてなかったけどテントOKです。ここに載せた地図はそこで 「90マイル・ビーチを走りたいんだけど…」と言ったらくれた手書きの地図をベースにしています。 ぼくは Hukatereからビーチに入って灯台の手前の Te Paki Streamから抜けてきました。 一般的には Kaitaiaに近い岬の根元付近の入り口(ツアーバスの入口)から入って、ビーチ最後の出口 Te Paki Streamから道路に戻るのがふつうです。 90マイル・ビーチというのは本当にだだっ広い砂浜です。遠浅の海で潮が引いていると波打ち際から浜の奥まで何百メートルあることだか。潮の引いたあとのまったいらな浜が走行ポイント。しっかりと砂が締まっていて舗装道路以上に快適に走れます。 一般的なアドバイスとして「時速80から90キロくらいの一定速度で走り抜けること」なんて言われているけど、実際にあそこにいってしまうとついスロットル全開にしてしまうのがふつうなんじゃないかという気がします。 とにかく気持ちがいい。あまりに広いもんだから目をつぶって思いっきりアクセルをひねってしまいました。十秒くらいして目を開けてみたら、一般道路でも出したことのない時速170キロ。未だもってこれがぼくの最高速度です。 本当はときどき砂が柔らかいところがあって危ないらしいのですが、まあコケても砂の上だから、とつい気が大きくなってしまいます。 そんな気持ちの良い一直線の海岸が延々100キロ近く。でもそんなペースで走っているからせいぜい1時間くらいで終点の Te Paki Streamに着いてしまいます。この出口は毎日大型バスが何台も出入りしているところだから、轍の跡ではっきりわかりますし、いちおう看板も立ってます。 この出口はその名のとおり Stream(小川)で、道があるわけではなく膝下くらいの流れのなかをさかのぼって行きます。オフロードバイクじゃなくても大丈夫。ここも川底はしっかりと締まっているから、10キロくらいのスピードでゆっくりと急ハンドルにならないように慎重に進んでいきます。いくつかの流れがあってルートどりがわかりにくいかもしれないから、できれば他の車がくるのを待って後をついていったほうがいいかもしれません。 やがて砂丘(みんなサンドスキー、もといソリを楽しんでいる)のカーパークを経て、砂利道が始まって、State Highway 1(国道1号)へ抜けられます。砂丘から Te Pakiまではごくふつうの砂利道ですが、国道1号からケープ・レインガ Cape Rainga までつづく道は、かなり程度のいい砂利道で、80キロ程度で安定して走れます。 楽しい体験でしたが、案の定、バイクは錆びました。最後真水の川を走っているときに意識的に水をかけて塩を流すようにしてみたけどダメでした。このあたりは水が貴重らしくて宿で水道を使わせてもらうのは難しいようです。気になる人はガレージ(ガソリンスタンド)でお金を払って頼むか、カイタイア Kaitaia の街までもどってちゃんと洗ったほうがいいでしょう。 |
制作・著作 秋場 研 http://homepage2.nifty.com/treknz/ e-mail : AKIBA_Ken |