|
地図のなかにキウイがいる...。
ニュージーランドの地図を見ていて気になった人はいませんか？ そう、南島の北西の海に突きだしたキウイのくちばしのような不思議な地形 ― フェアウェル・スピット Farewell Spit のことです。
フェアウェルスピット/フォッシル・ポイント・ループにひろがる幻想的な砂丘
 25kmにおよぶ不思議なキウイの"くちばし"は、実はぜんぶ砂でできています。ウェスト・コーストに流れ込んだ川砂が潮流によって堆積したもので、日本語では砂嘴（さし）といい、静岡県の「三保の松原」などが有名です。
それにしても、みごとにキウイの頭に見えるのは、ニュージーランドの国鳥なだけになんとも不思議な因縁を感じてしまいます。
さて、フェアウェル・スピットの楽しみ方ですが、残念ながら、"くちばし"部分は一般車両進入禁止になっています。野鳥の保護地に指定されているからです。ライセンスを持ったツアー会社のガイドツアーに参加しないかぎり、先端には行かれません。
しかし、砂嘴の雰囲気を味わうだけなら、ビジターセンターから手軽に歩けるハイキングコースでも十分かもしれません。
砂嘴の根本付近はプポンガ・ファームパーク Puponga Farm Park としてさまざまなハイキングコースが整備されています。
とくに砂嘴の根本を海に向かって縦断するフォッシル・ポイント・ループ Fossil Point Loop を歩くと、景色はまるで砂漠のよう。美しい砂紋が続く、なだらかに隆起する砂原に立ち入ると、どこまでも続く砂・砂・砂！ 道しるべのオレンジ色のポールを見失ったら、それこそ本当に遭難してしまいそうです。やがてタズマン海の白波が見えてくると、そこは水平線と地平線だけの大地。どこまでもどこまでも障害物ひとつありません。世界の箱庭と評されるＮＺの中でも、また格別の雰囲気といえるでしょう。
フェアウェル・スピット以外にも、地の果てともいうべき同地方（ゴールデン・ベイ Golden Bay）には、幻想的な透明度のＮＺ最大の泉ププ・スプリング Pupu Springs や、ゴールドラッシュ時代の遺構、絶滅した巨大鳥モアの骨が眠るという洞窟、干潮の浜で採り放題の牡蠣や二枚貝(ピピ Pipiやコックルズ Cockles)など、ノスタルジックで魅惑の場所がいっぱい。ニュージーランドのなかでも特別な雰囲気を持ったゴールデンベイ地方 ― 世界中からアーティストが集う場所としても知られているのも納得です。
【ワンポイント】
ゴールデンベイ地方の中心地はタカカ Takaka。在住アーティストの作品を売る店が多く、独特の活気に満ちている。銀行、スーパーマーケット、ビジターセンターあり。
| 