Mt.Aspiring National Park

◆Rees-Dart Track　(with Cascade Saddle)

オススメ度高し リース・ダート・トラック

リース・ダート・トラック Rees-Dart Track は有名な ルートバーン・トラック のお隣にあたるトラックです。このコースはとってもおすすめ。これだけ歩きやすくて、こんなにダイナミックな景色の見られるトレッキングコースは Mt.Cook 地方以外知りません。

次から次へと視界に飛び込んでくる氷河。草原、森、 タソック とほどよく変わっていく景色。リース・ダート・トラックはほぼ周回するコースなのでクイーンズタウン Queenstown あたりをベースにして気軽に歩けるし、公共のバスも両方のトラック・エンドにアクセスしています。

クッキング・ストーブは持参する必要がありますが、山小屋はとても立派で快適さは グレート・ウォーク なみ。ダート・ハット Dart Hut にいたっては、水洗トイレに紙付き。それでいてハット代は1泊$10（カテゴリー2ハットです）。難易度もたいして違わないから、ルートバーン・トラックをキャンセル待ちするくらいなら、迷わず リース・ダート・トラック Rees-Dart Track に行ってしまった方がいいと思います。

サイドウォーク：カスケード・サドル

リース・ダート・トラックは通常は３泊４日で歩きます。でも ダート・ハット Dart Hut で2泊して、カスケード・サドル Cascade Saddle へ行くのをおすすめします。 ダート氷河 Dart Glacier という大きく立派な氷河を間近にみることができて、サドルの向こう側の谷(Matukituki Valley)の景色もすばらしい。その谷へ下ってワナカ Wanaka 方面へ抜けることも可能です。

カスケード・サドルから見るダート・グレイシア

カスケード・サドル Cascade Saddle へのルートはむずかしいとガイドブックには書いてありますが、天気さえ良ければさほど問題ありません。丁寧にマーキングしてあり、人の歩いた跡もはっきりしていますので、ふつうの体力があるひとなら大丈夫。サドルまでの最後の登りはきついですが、その途中からでも氷河の姿はじゅうぶん楽しめます。とりあえず行ってみるといいんじゃないでしょうか。

*******

氷河の中は・・

この話は番外編ということで聞いてほしいんですが、実はリース・ダート・トラック／カスケード・サドル・ルートの正規コースを外れて、氷河のターミナル（末端部分）へ行ってきました。氷河というのは岩石を削りながら流れてきたものですので、ふつうは土砂で汚れていて、表面はあまりきれいなものではありません。遠くから見ると岩壁と間違えてしまほど。近くから見ると、「あ、本当に氷なんだな」と思うわけですが、でもやっぱりイメージするような美しさはあまり感じられない。

ところが、です。末端部に氷河の壁にぽっかりとあいたトンネルがあったんです。で、一歩入ってみると、中はみごとな icy blue 。氷の壁全部が半透明に透き通った青で、なんともいえない幻想的な空間がありました。それこそまさにイメージしていた氷の世界。ヘンな表現ですが宇宙空間を体験したかのようなそんな感動がありました。

ダート氷河の内部

しかし、この行為、実はとっても危険なこと。氷河の末端部のすぐ目の前に行くことは問題ありません。でもその直下に近づくのは自殺行為といってもいいかもしれません。というのは氷河は氷なものだから、表面はつるつる滑って、氷の壁の上からいつもいろんなものが落ちてきています。土砂が氷の壁の上に堆積していて、ときとして家くらいの大きさの岩が滑り落ちてくることも珍しくありません。氷河のある地方を歩くとわかりますが、ときどき雷のようなすごい音を聞くことがあります。それは氷河が崩れ落ちる音。とにかく危険です。日本だったらまず立ち入り禁止の厳重な柵がしてあるでしょうね。番外編と前置きさせてもらいましたが、決して人に勧められる場所ではありません。あくまで自己責任が前提です。

氷河の末端付近の川には氷のかけらがたくさん落っこちています。ここで以前からどうしてもやりたかったことをついに実行できました。それは氷河の氷で水割りを作ること。評論家が言うような味の違いはわからないけど、気分はとにかく最高！　でも帰り道、足元がふらついてつらかった。

ダート氷河の欠片で水割りを

制作・著作　秋場 研 http://homepage2.nifty.com/treknz/ e-mail : AKIBA_Ken