ニュージーランド・トランピング＆温泉情報

知られざるＮＺ旅講座 ２

　ササン・アルプスあおぐ 野性味いっぱいの露天風呂
　〜　南島のウェルカム・フラット・ホット・プールズ　〜

　意外に知られていませんが、ニュージーランドは日本と同じ温泉大国。北島のロトルアや南島のマルイア・スプリングスが有名です。ここでは、道路も通っていないような秘境にある100％ピュアな"天然温泉"にスポットをあてました。温泉独り占めの旅はいかがでしょうか。

隣接する国営(DOC)の山小屋。1泊NZ$8(1999年当時)。手前のトラックに小さく見えるのは飛べない鳥ウェカ。国鳥キーウィと似ているため勘違いして大騒ぎする人がたまにいる。	大自然の中の天然温泉。いちばん広い温泉に浸かり、ゆったりとしている筆者

トレッカーに人気

　ニュージーランドには有名な温泉がいくつかあります。でも、ほとんどが温水プールのようで、あまり風情が感じられないのがちょっと残念。全般的に感じることなのですが、ニュージーランドの人々は温泉へのこだわりがあまりないようです。しかし、それが幸いしてか、まったく開発されていない自然のままの温泉があちこちに残っています。
　そのひとつがウェルカム・フラット・ホット・プールズ（Welcome Flat Hot Pools）です。山中にある天然温泉ですが、アクセスの良さ、快適さという点で、ここがお勤めです。トレッキング中級者を中心に最近、じわじわと知名度を高めている魅惑の場所なのです。
　場所は南島のウェストランド地方、フォックス・グレイシャーの南26キロほどのところに位置します。
　川沿いのコープランド・トラック（Copland Track）を歩くこと6〜8時間（約17キロ）、ウェルカム・フラットというぽっかりと開けた平原に出ます。その少し手前にあるのがウェルカム・フラット・ホット・プールズ。
　10人以上入れるゆったりとした温泉（プール）は岩盤を掘っただけで野性味たっぷり。プールは4つあり、熱めとぬるめを選べるのも魅力。源泉からの距離によって温度が異なり、一番下の広いプールがぬるくて入りやすいでしょう。プールの底には緑白色の目の細かいドロが溜まっていて、最初はちょっとビックリしますが気にすることはありません。入ると一瞬舞い上がりますがすぐに沈んでしまいます。

最低1泊2日で楽しむ

　目の前の景色は雄大そのもの。山脈の荒々しい岩肌が迫り、谷の奥の方には夏でも雪を頂いたサザン・アルプスの山々が。温泉で感じる日本情緒とニュージーランドの雄大な景色の融合。ちょっとミスマッチで不思議な感動を覚えるはずです。国営の大きな山小屋が隣接しているので、数日のんびりしたいところです。
　この温泉へは最低1泊2日が必要。料理用コンロや食料、寝袋を背負っていく本格的なトレッキングになります。険しい登りはありませんが、距離が長く、コースには一部ラフなところもあるので、まるきりの初心者にはきついかもしれません。天候が安定しない地域なので、くれぐれも細心の注意を払ってください。

【アクセス】
起点となる町はフォックス・グレイシャー。ウェストコーストを走る長距離バス、インターシティーの「コープランド・トラック」駅で下車。コープランド・トラックを歩いて6〜7時間（約17キロ）で温泉とウェルカム・フラット・ハット（山小屋）に着く。コープランド・トラックを歩けるシーズンは10〜4月。