|
オートバイで1年近くニュージーランドを走り回っていましたが、名もないような小さな場所で素晴らしい景色に出会ったり、思わぬ体験をしたことが多々あります。今回は、そんな何気なく訪れた町で見つけた「カウリ・ガム」と呼ばれる琥珀を招介しましよう。
筆者が探しあてたカウリガムを自分でみがいて作ったペンダント／原石
 |
 |
カウリの樹液が時を経て琥珀に
すべてはダーガビル（Dargaville）という町のユースホステルに泊まったことから始まりました。ダーガビルは北島オークランドの北西180キロほどのところにある小さな町。北へ向かう途中、何気なく立ち寄った場所でした。
宿に入ってまず目についたのが黄色や赤に輝く透明な美しい彫刻の数々。すべて宿のオーナーの手作りの作品です。説明書きによると、この地方で産出されるカウリガム（Karuri Gum／一般的にはカウリ・コパールと呼ばれている）を加工したものだとのこと。
この一帯はカウリ・コーストとも呼ばれ、ニュージーランド固有の巨大な針葉樹「カウリ」の特産地でした。しかし乱伐によって、現在はワイポウアの森を含むカウリ・コーストやウエスト・オークランドのワイタケレ森林公園、コロマンデル半島の一部などでしか見られない貴重な存在となっています。
19世紀、カウリの材木はニュージーランドから輸出する目玉商品でした。それと併せて、人々を魅了したのがカウリガムです。宝石の一つに琥珀というものがありますが、これは恐竜時代などの木の樹液が地中に埋没して生じた一種の化石のことです。カウリガムもその一つで、原石を磨いたときの美しさから宝飾や工芸品として珍重されています。
自分で見つけてペンダントに細工
初めて目にするこの不思議な石に惹かれた私は、カウリ細工の職人でもある宿のオーナーに頼み込んで、原石の採れる場所を教えてもらいました。そして、ダーガビルから約30キロ離れた某所で探すこと数時間。偶然にもミュージアム・クラスといわれるほどの透明度の高い原石を見つけることができたのです。見事な原石を採ってきたので宿のオーナーもびっくり。本当は素人がいきなり行って見つかるようなモノではなかったようです。非常にラッキーでした。その原石を自分で磨いて作ったのが写真のペンダントです。
これを機にダーガビルに2週間近くとどまって、観光地とはほど遠いカウリ・コーストの静けさを満喫しました。
カウリガムを手にしたいという方は、ダーガビルのユースホステルに行けばNZ$10（約600円）くらいで気軽にオリジナルのペンダント作りを体験させてもらえます。また、ダーガビルから45キロほど離れていますが、マタコヘ・カウリ・ミュージアムのカウリガム・コレクションは見事です。興味のある方は立ち寄ってみてください。
| 