Cedar Flat は天然温泉が湧く場所として知られている。トラック(トレッキングコース)を歩くこと、数時間で Cedar Flat Hut という山小屋につき、そこから歩いて15分のところに天然温泉が湧いているという。
以前から興味はあったのだが、なかなか足を運ぶ機会がなかった。というのは、ニュージーランド南島ホキティカ Hokitika の内陸にあるのだが、とにかく交通の便が悪いのだ。
主要国道からは遠くはずれ、途中に特に観光地もない。公共の交通機関は皆無で、ヒッチでいくにも地元の人の車がわずかに通るだけで、どうにも気軽に行かれない場所だった。
どうしても Cedar Flat に行きたければ、最寄りの町ホキティカでタクシーをアレンジするか、効率が悪いのを承知でヒッチで車をつかまえるしかない。
しかし、地図を見ていて気付いたのだが、Cedar Flat Track の入り口は、スリー・パス・ルート Three Pass Route の出口に近い！ そう、アーサーズパス村 Arther's Pass Village を起点とする Three Pass Route を歩いた後に、そのままつなげてしまえばいいではないか!?
かくして諦めかけていた Cedar Flat の温泉に挑戦することになったのだった。
Three Pass Route ⇒ Cedar Flat Hut へ
往路に使った Three Pass Route というのは、3泊4日もしくは 4泊5日で抜ける長い直線ルートだ。かつて西海岸と東海岸を行き来するのに使われていた。現在はアーサーズパス村からホキティカ方面へ山越えするトレッキングコースとして知られている。（詳しくは前項参照）
思いのほかハードなコースにヘロヘロになりながらも、Three Pass Route を抜けて一般道路にたどり着いた。場所が場所なだけに、道路といっても未舗装。鬱蒼とした森の中を土色の細い道が一本、ずっと延びていた。
里の風景のなかトボトボと道路を歩くこと1時間半、Cedar Flatへのトラック入口に到着した。トラックに入ると最初のうちはとても道幅が広かった。崖の斜面を削って道幅を広げたような部分もあり、どうやらここは昔のトラムウェイの線路跡のようだった。足下に枕木の痕跡が見え隠れしている。
歩くうちにトラックはトラムウェイ跡を外れたようで、やがてまわりは鬱蒼としたジャングルのような森になった。足下はややぬかるんでいる箇所が目立つ。
急な斜面を下って、けっこう流れの速い川沿いに出ると、しばらくは河原歩き。ところどころジャバジャバと水の中を歩く。この部分は増水すると通行不能になる。だから河原へ下りる前には Flood Route という迂回路のサインがあった。切り立った崖の上にトラックがつくられているのだろう。
なんの目印もない河原を30分も歩くとやっと左手にオレンジの▲マークを発見。再び山歩きに戻る。けっこう急な登りが続く。やっとフラットになったと思ってもタラタラとかったるい登りが続く。1時間半ほどでやっと峠を越えてあとは下り。河原へ下りるとあとは川ぞいにいく。途中、トラックがあらわれて、それに従って川沿いの林のなかを歩いていくと、三方向を指した大きなサインポストが現れた。左手には"Hot Springs 10 mins"と書かれている。いよいよだ。まずは左手の Cedar Flat Hut へ向かった。すぐに長い吊り橋が現れて、それを渡るとすぐに小屋が見えてきた。ハット到着は18:10。トラックの入り口からは3時間半、Three Pass Route の出口からは5時間ちょっとかかったことになる。結局、この日の歩行時間全部では9時間。なかなかしんどい一日だった。
Cedar Flat Hut
Cedar Flat Hut につくと、ふたつの建物があった。ひとつは正式にＤＯＣが管理している Cedar Flat Hut で、もうひとつは建て直し前の古い Old Cedar Flat Hut。
New Hut の方は定員6名で、カテゴリー3、つまり一泊$5。もちろん管理人はいない。一方、オールドハットの方は古いとはいえ、いちおう使用には耐える。ベッドは2人分あって、マットレスも残っていた。テーブルがないのは残念だが、レトロな雰囲気がいいといえば確かに味がある。カテゴリー4あつかいで宿泊は無料だ。
このコースは決してメジャーなトランピングコーストはいいがたい。なのに偶然にもぼくが行ったときには4人組のパーティーが New Hut に泊まっていた。姿は見えなかったが、バックパックが4人分とベッドとテーブルの上に荷物が散乱していた。ベッドは空いてそうだったけど、荷物がいっぱいでどれが空きのベッドだかよくわからなかったので、オールドハットに泊まることにした。
New Hut に泊まっているとおぼしき一行の姿が見えない。きっと温泉へ行っているのだろう。ひとりでゆっくり湯に浸かりたかったので、はやる気持ちをおさえて彼らが帰ってくるのを待つことにした。待ちがてらインスタントヌードルの夕食を済ませた。
人がいないとラーメンも遠慮なくずるずると食べられるのがうれしい。そう、意外と失敗してしまう日本人が多いのだが、たとえラーメンであっても音を立てながらすするのはマナー違反だ。ヨーロッパ人はあからさまに嫌な顔をする。かといって彼らのようにスプーンとフォークで冷ましながらそろそろと麺類を食べるのはどうも味気ない。乾燥ミックスベジタブルとオイルサーディンの缶詰を入れたラーメンをハフハフいいながら食べた。
肝心の温泉の様子については、申し訳ありませんが、「温泉」のページ以下をご覧下さい。⇒ こちら （ダイレクトにジャンプします）
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