〔インテンションカード〕
インテンションカード (intention card) というのは日本でいうところの入山届けないし登山計画書のこと。ログ・ブック log book ということもあります。唯一スチュワート・アイランドのラキウラ・トラックだけは書かされますが、ふつうのグレート・ウォークではとくに求められません。
主にアーサーズ・パス地方やウェストランド地方などの自然条件の厳しい地域に入るときに書かされるもので、通常はＤＯＣオフィスの入り口付近の24時間アクセスできる場所に提出ポストといっしょに備えつけてあります。
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| 通常のインテンション・カード |
こちらはアーサーズ・パスのもの |
上の写真の左側がもっとも一般的な書式のもので、名前、行くコース、出発日と終了予定日、連絡先、自分の車で行く場合にはそのナンバーなどを書きこむようになっています。
下の部分を切り離せるので、大きいほうをポストに入れて、残りの半券は無事に戻ってきたら同じポストに入れることで一連の作業が終わります。（これを「インテンションをキャンセルする」と表現します）
もしカードを提出した場所に戻ってこない場合は、提出したＤＯＣオフィスに電話で下山の報告するのを忘れずに。下手すると捜索隊が出されてしまい、大変なことになります。トランピング終了予定日を1日、2日遅れるくらいなら大丈夫だけど、いちおうＤＯＣも心配してますので。
ぼく自身の話になりますが、Harper Pass Routeを歩いたとき、帰路はヒッチでクライストチャーチへ行って Folley Towers というバックパッカーズに泊まると書いておきました。（アーサーズ・パス地方では独特の書式を用意している）
ところがちょうどそのとき、クライストチャーチ・フラワー・フェスティバルに重なっていて、泊まろうと思っていた宿はいっぱいでした。結局その晩は別の宿探しで忙しくてＤＯＣに電話し損ねてしまいました。で、次の日は朝早くから長距離バスに乗ってしまったので、結局電話をするのが遅れること数日。
やっと電話をかけて、こっちの名前を言ったら向こうはすぐにわかったようで「いまどこにいるの？ Folley Towers に電話したけどあなたはいなかった」などと言われてしまいました。とても心配してくれていたようで本当にごめんなさい、でした。
そんなわけで、トランピングを終わったときって、シャワーとかビール飲みたいとかいろいろと忙しいものですけど、インテンションのキャンセルだけは忘れないようにしたいものです。
〔ビジターズ・ブック〕
 インテンション・カードと並んで重要なのがビジターズ・ブック(Visitor's Book)への記入。これは各ハットに備えつけてある記帳で、どういう日程で歩いてるかを記録しておくためのノート。遭難したときの足取りを追うのに重要になります。変則的な動きや予定を変更するときにはなるべく詳しく書いておくことが必要です。
ハットのビジターズ・ブックはＤＯＣ特製のフォーマットの決まったものなのであまり遊びがないのが残念です。コメントを書く欄はありますが、小さくて本当に一言しか書けません。ユース・ホステルやバックパッカーズのビジターズ・ブックのような読む楽しさはあまりないけど、それでもハットに着くと暇にまかせて隅から隅まで目を通してしまいます。
注意してみているのは国籍の欄。宿のビジターズ・ブックは日本語だらけなのに対して、山で日本人の名前を見つけるのはなかなか難しい。特にマイナーなバックカントリー・トラックの場合、利用者が少ないためビジターズ・ブックももう何年も使われていることがあります。それでも日本人の数は数人。そうなると特殊な場所に来ているような気がしてなんだか嬉しくなってしまいます。
だいたいそういうマイナーなところに行く人は決まっているので、「あ、あの人、ここにも来たんだ」とビジターズ・ブック上の文字なじみができてくるのも楽しいものです。
ニュージーランドを旅していると驚くほどたくさんの日本人に会います。それこそ日本人に接しないようにするのが難しいほど。その点トランピングの世界ではまだほとんど日本人を見かけません。山のなかで日本人に出会ったといえば、ケプラー、ルートバーン、ミルフォードだけです。ヘンな話ですが、山に入って初めて外国に来ていることを意識したというのもあながち冗談ではありません。
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